たんかん(タンカン)詳細
原産地:中国広東省 科 名:ミカン科 和 名:桶柑(タンカン) 学 名:Citrus tankan HAYATA (C. nobilis x C. sinensis) |
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たんかん(タンカン)は、中国広東省の原産ですが、発生の詳細は不明です。 ポンカンあるいはミカン類(タンゼリンtangerine)とスイートオレンジ類(orange) との自然雑種と思われ、タンゴール類(tangor)のひとつです。 タンゴーツ類にはその他に、伊予柑、テンプル、清見、マーコットなどが知られています。たんかん(タンカン)の名称は中国、台湾の地域により桶柑、年柑、蕉柑あるいは招柑、潮州柑、西螺柑、など多くの異名を持っています。 桶柑の名は桶に入れ売られた甘味のある柑橘の意味でつけられ、年柑は旧正月ころに熟し食味されることから出た名称です。 たんかん(タンカン)が台湾に導入されたのは寛政年間で、他のカンキツとともに台北市に入ったのが初めての記録です。 台湾は中国南部とならんだたんかん(タンカン)の産地で、特に優良の果実が生産されるといわれます。台湾でも台北県を中心とした北部諸県が主産地ですが、ポンカンに比べて比較的低温(年平均19〜22℃)を好み冬季の降雨が多いのが、適地の条件であるからでしょう。 わが国へは田村利親により1896年(明治29年)に台湾から鹿児島県に導入されましたが、実際に栽培が始められたのは、昭和4年以降のようです。鹿児島県の南部と離島が主産地で、宮崎県、熊本県で若干栽培されている程度で、南九州以北では気温が低く、果実の肥大が悪いので不向きです。 沖縄県へのたんかん(タンカン)の導入は温州、ポンカン、文旦、グレープフルーツなどより比較的おそく、沖縄県立農事試験場の業務日報によれば、大正13年度小禄試験地に見本園を設置し、低しょう系のたんかん(年柑として登場)を植栽したのが始まりで昭和2年度には試作に移し、桶柑(たんかん)の名で記載されていますが導入先は不明です。 昭和7年度には農会により、台湾新竹州の農園より3年生苗木をとりよせ、柑橘類適否試験として、県立農事試験場国頭試験地に、昭和8年2月に植栽されたほか、本部町伊豆味の桃原農園など、民間にも一部配布されたようです。 昭和32年には、鹿児島県垂水試験場より、高しょう系のT132が導入され、大果性、種子が少ないなど、たんかん(タンカン)栽培が有望であることが認められました。この点にいち早く目をつけたのが硫石産研で、台湾から苗木を導入したり、自家育苗したものを植栽したのが昭和30年代の後半です。昭和40年代に入ると、これまでの在来品種にかわり、たんかん(タンカン)の本格的栽培がスタートするのです。 昭和50年代には、鹿児島県果樹試験場選抜の垂水1号が導入され、T132よりさらに大果であることなど、優良性が認められ、現在新植されているのはすげて本系統です。 果実の大きさは、在来系の100gから垂水1号などの250g前後と、系統より大きい差があります。果皮の暑さは2〜5mmくらいで、優良系ほどうすい傾向にあり、果肉の割合が高い。果皮の色も、黄色〜濃紅色までさまざまで、ミカン類の血をうけついでいるので、皮は比較的むきやすいです。十分に成熟しないうちは、果皮にテレピン臭がありますが、熟期に入ると糖酸のバランスがとれ、風味が良好になります。種子は在来系が10粒前後とおおく、優良系では2〜3粒前後で、大春系の中には無核果も多い。 収穫時期は1月〜2月ですが、食味が最高になるのはそれ以降であり、熟期は2月〜3月ころにあると思われます。この時期は、たんかん(タンカン)の発芽時期とかち合うため、1月〜2月収穫、1〜2ヶ月間の貯蔵、2月〜4月出荷を行うのがよいでしょう。 結果習性は、15cm前後の良好な春枝上に、有葉花として咲くことが多いが、徒長ぎみの夏枝にも直花が総状的に咲きます。着花過多になると、たとえ良好な結果母枝があっても、翌年の実のつきが悪く、1〜2ヵ年も着果を見ないことがあります。 樹勢は強く、直立性を示し、温州などに比べれば着果樹令に達するのが、若干おそいようです。 枝が叢状に密生して発生するので、良好な結果母枝が得にくく、隔年結果の一因になっているものと思われます。 成り頭しには着果が極端に多く、収量も多くなりますが、裏年にはほとんど着果を見ないことがあり、収量は不安定です。 |
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たんかん(タンカン)は大きく分けて在来系と呼ばれる低しょう系タンカン(C.tankan HAYATA)、高しょう系タンカン(forma kosho tankan HAYATA)、海梨柑(ハイリーカン)(farma Haili HAYATA)に分類されます。低しょう系は腰の低いたんかん(タンカン)を意味し、果実が100g内外で小さく、比較的扁平です。小果のため糖度は高く美味であり、着果が多く、豊産ではありますが、種子も多く、台湾では旧正月ころに熟するので年柑とも称されます。高しょう系タンカンは、腰高の果形をし、品質がよくて大果性です。現在栽培されている系統の主流を占め、数系統が知られています。 |
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根付け前の準備として、根付け時期(12月〜2月が適期で梅雨時期の5月〜6月でも可)の2〜3ヶ月前に植穴(直径1m深さ40〜50cm)にす堆肥、BMヨウリン、苦土石灰など、土壌PHに応じ適量入れ、かくはんし盛土して、うめもどしておきます。 苗木は1〜2年生を購入しますが、生育のいい良質苗を選ぶのがポイントです。 根付けは、深植えにならないよう軽く穴を掘り、八方に根を広げ盛土ぎみに根付け、支柱を垂直に立て固定します。かん水は根が活着するまでたっぷりやります。カンキツ栽培の秘訣は、初期の1〜2年が勝負ですので、病害虫防除などを徹底し、生育をうながすことが大切です。 ミカントップなどによるミカンハモグリガやアゲハチョウの防除、銅剤によるカイヨウ病、黄斑病・ダニ防除が大きなポイントになります。 施肥は幼木の間は2ヶ月に1回の割りで分施し、根焼けを防ぐためナタネ油粕などがよいでしょう。 病害虫防除、施肥のこまかい方法は別表の施肥、防除基準に準じて、適宜徹底するのがカンキツ栽培の成功のカギです。 たんかん(タンカン)は細かい枝が数多く出るので、せん定が面倒ですが、少々太枝を単位にして間引きせん定を基本にし、日光が十分に冠内に入るようにします。 毎年果実をつけるには、着果過多にならないよう、摘果(80〜100葉に1果程度)をし、着果負担を軽くすることが大切です。 たんかん(タンカン)は特に塩害に弱いので、台風時の対策は十分に行います。 |
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